非日常の別乾坤

蕪村 竹林茅屋図
「うれしいことに東洋の詩歌はそこを解脱したのがある。
超然と利害損得の汗を流し去った心持ちになれる。
独坐幽篁裏 弾琴復長嘯 深林人不知 明月来相照
ただ二十字のうちに優に別 乾坤を建立している。」(漱石 「草枕」
)
和風の空間にふれた時に感じる安らぎの感覚は「草枕」に描かれた感覚に通じる。
日常生活の義理人情や利害損得をオフにして
さっぱりしたすがすがしい気持ちになれるのが和空間の持ち味。

障子を透した木漏れ日が心地よい

玄昌石の床、聚落の壁、格子戸のおりなす線の重なり

杉を使った柔らかい風合いの空間
小間返しの面格子 
小庭の蹲
蕪村「又平」
「三径の十歩に尽きて蓼の花」(蕪村)
十歩で終るくらい小さい庭でもしつらいの仕方で別天地が見えてくる

愛犬バンクォーと散策するグールド
(映画「グレン・グールド 27歳の記憶」1959
)
20世紀を代表するカナダのピアニスト
G・グールドは漱石の「草枕」が愛読書だった。
オンとオフをきちんと分け、若いときからオフには喧噪のニューヨークを離れ別荘で生活し、
「草枕」的世界を実生活で実践した。

ビル内の茶室
バルコニーにつくった小さな庭

和室からベランダ小庭を見る
十便十宜「夏宜」蕪村

リシン掻き落としの壁 と娑羅の木

聚落の壁を白熱灯が照らす


ビル内の茶室

杉の面皮柱、竹、聚落壁

床脇は障子を使った間接照明

障子を透した薄明かり

秋の夕日がひとすじさし込む

赤松の床柱 杉板の挿し長押と柱
街路に面したささやかな和空間

静かな佇まいの玄関
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